頂き物―中村悌次『生涯海軍士官』

 %E4%B8%AD%E6%9D%91%E6%82%8C%E6%AC%A1.jpg 中村悌次『生涯海軍士官―戦後日本と海上自衛隊』(中央公論新社、2009年)
 元・海上幕僚長、中村悌次さんのオーラル・ヒストリーが出版されました。ここ数年、防衛省防衛研究所戦史部が主軸のプロジェクトとして精力的に取り組んできた自衛隊オーラル・ヒストリーですが、これまでは限定部数の成果冊子として、研究者に配布されるに止まっていました。今回、その第一号である中村幕僚長のオーラルが、広く一般に読まれる形になったことは、立ち上げから間接的に関わらせて頂いた一人として、とても嬉しく感じています。
 本書の意義が、海軍士官であった氏が幹部自衛官として、戦前戦後を通じて連続した意識のもとで自衛隊の存在を問い続けたことにあるのはもちろんですが、私自身には、終戦直前、氏が第18突撃隊の特攻長として勝山に勤務していたくだりが印象的でした。わが祖父は、氏の下にいたり。記憶を記録に残す仕事の、長い射程を、聞き手ではなく私人として体感できたように感じています。