日本の約価は欧米諸国に比べ平均1.4倍から3倍も高いことが、大阪府
保険医協会の調査で分かっている。厚生省の調査によると、日本では
医療費の3割近くを薬剤費がしめており、同協会は「日本の薬剤費が欧米と
比べて妥当かどうか検討が必要だ」と話している。日本の薬価は薬価基準では、
この十年間に平均して約二分の一に下がっている。ただ新薬の薬価基準は
相対的に高いといわれており、このためもあってメーカーは新薬開発に狂奔する。
それがメーカー間でしのぎを削り、切瑳琢磨するというメリットもあるが、
激しい売り込みという形をとることにもなる。
実は1986年にフランス・ベルギーの研究者の動物実験で、ソリブジンに
化学構造の似た薬と抗ガン剤との相互作用を指摘する論文が出されていた。
そして日本商事は1988年にこの論文の存在を知ったということで、翌年
動物実験を行い、ソリブジンでも抗ガン剤との相互作用があることを確認
していたのだ。ところが日本商事は、そうした動物実験の結果を、治験担当医
にも知らせていなかったという。そして、治験時の死亡例も「原因不明」扱い
のまま、ソリブジンの添付文書には「(フルオロウラシル系薬剤との)併用投
与を避けること」という控えめな表現を記して販売したのである。