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プレゼンテーション台本

	現代政治プレゼンテーション 台本 (大枠)


                         CAST & STAFF

	           大口使用者    菊谷俊輔
	       特定電気事業者   岡崎雄太
                  発電会社   峰岸まり子
     電力会社(でんこちゃん)   真野秀太
           通産省(橋本龍太)  辻山昭彦      
		     一般市民#1   矢野尚平
                             #2  新井正和                                   
                     
	 		 司会    天野史子
	         政策提言者#1   貞松香織
                             #2   高藤悠子

		   書画カメラ    津田全泰、正木祐介、小佐野裕章   



1.開会宣言

[司会]

みなさんこんにちは。ただいまより、電気フォーラムin藤沢`95を開催いたします。議論をより深いものにするため、本日は各分野でご活躍のみなさまにパネラーとしておこしいただきました。ご紹介しましょう。舞台向かって左から、大口使用者代表のカトカン自動車さん、特定電気事業者の草野製鋼さん、発電会社の日本発電さん、電力会社代表は東京電力の電子ちゃん、通産省資源エネルギー庁の橋本龍太さんにお越しいただきました。会場には藤沢市民のみなさまがお集まりです。

2.電気事業界の説明

[司会]

まず、ご観覧の皆様に、電気事業界の仕組みについて分かりやすく説明しましょう。通産省の資源エネルギー庁からお越しいただきました、橋本さんに講義していただきます。
  
[橋本龍太]

現在のわが国の電気制度と来年一月からの新制度について若干ご説明させていただきます。この図をご覧ください。

資料「図表で見る... 日本地図」を映す

現在、電気事業界には東京電力、関西電力など10社の電力会社が存在します。それぞれの電力会社の供給区域は私ども通産省が定めています。

資料「現状の図」を映す

そして発電、送電、配電はその区域の電力会社が一括して行っています。また
それとは別に発電のみを行い電力会社に販売する発電会社が存在します。この
発電会社の発電量は日本のすべての発電量の8\%程度で、電力会社は自社発電
によってほとんどの電力を調達しています。
 わが国の電力供給は、停電がすくない、

資料「数表で見る...グラフ」を映す

電圧が安定している、停電が起きた場合にすぐに補修サービスを行うなど、諸外国に比べ総合的に電気の質が良いといえます。         ただ、電力会社が設備投資を行う際にあまりにも高品質を求めすぎて、購入材、備品などにあまりにも高額なものを使いすぎ、その結果として電気料金が高くなっているという面があることも否定できません。さらに現在の電力需要の伸び

資料「電力設備 電力量の伸びグラフ 負荷グラフ」を映す

に対して今の電力会社だけでは対応しきれていないという問題もあります。それに加え、発電所の建設が困難になっていることから

資料「送電線の写真」を映す

遠隔地に建設せざるをえなくなっており、送電にかかるロスを生んでいます。
 そして現在、わが国の電気事業において、安定供給を確保しつつ、より効率的な電力供給体制を構築する必要が生まれています。そこでこの必要性をふまえ、来年一月から電気事業法の一部が改正されます。

資料「一月の図」を映す

 この改正によって緩和される規制は3つあります。第一に、発電事業に自由に参入できるようになります。ここには大型の発電設備を管理する技術を持った会社や、発電する際のエネルギー源となる石油、石炭を安く手に入れられる企業などの新規参入が予想され、これにより発電の分野に競争が導入されます。
 第二に、電力会社が発電会社から電気を買う場合に入札が行われるようになります。電力会社が自分の発電所で発電した場合にかかるコストを「回避可能原価」といいますが、

資料「回避可能原価の文字」を映す

この回避可能原価を入札の時にあらかじめ公表することになります。これ以下の価格で入札を行なうことが義務づけられます。ここでも競争が促されます。
 第三に、企業が自社で発電した電気を近所の需要に応じて小売り販売することができるようになります。このような電力会社を介さない形で電力を売る企業を「特定電気事業者」といいます

ここでも資料「特定電気事業者」を映す

特定電気事業者が出てくることで電気の絶対量が増え、また電力会社の競争相手ともなります。また発電地から供給地までの送電する距離が近くなり、送電にかかるロスが減ることも期待されます。
 以上のような規制緩和で、電力供給がより効率的に行なわれるようになります。

3.問題点の指摘

[司会]

規制緩和が決定し、ここまで進んだ電気事業界ですが、まだ解決されていない問題も残っているかもしれませんね。パネラーのみなさん、日頃感じている問題点や、困っている点があれば、この場で言ってください。

[大口消費者]

そうですねぇー。私たちは工場で電気をものすごく使うから、電気料金はもろに製品の値段に影響するんですよねー。だから、発電会社が増えて電気事業界で競争が生まれれば料金が下がるから、そのぶんを商品に還元できると思いますよ。そうすれば、安い外国の製品とも張り合っていけるんです。でも、もしかしたら利潤にまわしちゃうかも。
 
あ、それから、過剰な安定供給をやめて、少しでも電気の値下げがはかられると嬉しいですね。 

文字『過剰な安定性よりコスト安を』を映す

[特定電気事業者]

 私たちがやろうとしている特定電気事業とは、発電した電気を電力会社を通さずに、直接工場や団地などに送ろうというものです。そうすることで、消費者の皆様方にお安く電気を供給できるのです。しかし、そうはいっても実際は電気供給の基準が大変厳しいので設備投資に余計なお金がかかり、なかなか皆様の御期待に添うことができないのです。

文字『参入規制が厳しい』
よって消費者のみなさまと我社の発展のために、私は声を大にして言いたい!

お願いだから、もっと基準をゆるめてくださいよー。うちも苦しいんですよー。橋本さーん。
 
[発電会社−日本発電−]

私たちも入札を通じて電力会社に余剰電力を買ってもらえることになりました。それで価格競争もおこるんじゃないでしょうか。

[東電]

まぁ、うちもちょっと発電量不足だからね。買いとってあげますよ。

(消費者#1 登場)
[消費者#1]

ちょっと待たんかい、東京電力!談合が起こるとやなかぁー?

文字『談合』を映す

[司会]

談合ですかー。ほかに何かおっしゃりたいことは? 

[発電会社]

もう一つ困っていることは、発電する電気の質を、電力会社の良すぎるぐらいの質にあわせなきゃいけないから、少しコストもかかることですよー。東電さん、もう少し電力の質をおとしてもいいんじゃないかなぁ。

文字『東電さん電気の質が高すぎる』
 
[東電]

私たちもそう思っています。設備も過剰すぎるし、電気の安定性も追求しすぎました。

[東京電力]−でんこ−

私たち電力会社ではとにかく電気が足りないの。一生懸命新しい発電所はつくっているけど、毎年毎年みんなが使う電気は増えているから、もう私たちだけではまかなえないの。

文字『休業中の発電所を有効にして』を映す

[司会]

ということですが、ここで一般消費者の意見も聞きたいですね。会場の皆さん、何か言いたいことはありませんか?

(客席から) 一般消費者#2

[一般消費者#2]

ハイハイハーイ!
オイは前からおもっとったとばってんがさー、やっぱ電気料金は高か!

[一般消費者#1]

そうばい、そうばい

[一般消費者#2]

やろ、お前もそう思うやろ。よう新聞とかでばってんがさあ。外国と比べて日本の電気料金は高か。高過ぎる。

[一般消費者#1]

たかか、たかか。

[一般消費者#2]

そいにさー、今はなんでん電気ば使ってものば作るとじゃなかとねー。だけんさー電気がもっと安うなればさー、ものの値段が下がるかもしれんとよね。一月に規制緩和ばすっちゃろー。そこの橋本のおっちゃん、期待しとるばい。規制緩和ばんざーい!

[一般消費者#1]

規制緩和ばんざーい!

[二人]

規制緩和ばんざーい!

文字『規制緩和万歳!!』を映す

4.指摘された点のまとめ

[司会]

さあ、パネラーの方々の発言が一通り終りました。\\ 

資料「問題一覧」を映す
(司会が読み上げる)

[通産省]

私どもの規制緩和は、まだまだですね。

5.政策提言

[司会]

では、これらの問題点を解決するためにはどうしたらよいのでしょう?ここで、現代政治8班から、新しい規制緩和政策の提言を行います。

(政策提言者が舞台袖から登場)

[政策提言者#1] 

私たちの規制緩和政策の最大の目標は料金低下です。

文字『料金低下』を映す

なぜなら、それにより経済が活性化され、消費者にメリットがもたらされるからです。これから、今まで見てきた問題をふまえて、政策提言を行いたいと思います。

[政策提言者#2]

料金低下のためには競争原理

文字『競争原理』を映す

を導入していくことが必要です。発電会社の入札の時、一つの基準として回避可能原価を公開することになっていますが、それには問題点があります。例えば

文字『イギリスの失敗』を映す

それを行っているイギリスでは十分な値下げが達成されていません。そこで回避可能原価

文字『回避可能原価』を映す

を非公開にすれば、それぞれ独自の企業努力がなされ、低コスト化に向けた電源の開発が進んで競争が促進されることは 間違いありません。ちなみに別の問題として入札参加者同士の談合が行われる可能性がありますが、これも回避可能原価を非公開にすれば、その可能性は低くなり、さらに公正取引委員会の監視強化をすることで、一層談合を防ぐことができます。

[政策提言者#1] 

また、発電会社間だけでなく電力会社間にも競争原理を取り入れます。具体的には

文字『ヤードスティック』を映す

発電のコスト削減へ向けておこなっている経営努力の状況に応じて電力会社をランク付けし、努力不足の会社ほど利潤の幅がせばめられる制度を導入します。しかし、電力会社の規模の違いから、発電コストに差が生じるという問題があります。その対策としてそれぞれの電力会社の地域事情を考慮に入れます。

[政策提言者#2] 

また料金低下

文字『事業者数増加へ』を映す

のためには事業者の数を増やすことも必要です。しかし、このままでは発電設備を建設する際の書類手続きに非常に時間がかかるという問題が残っています。許可が下りるまでになんと6年もかかった例もあるくらいです。事業者を増やすためにも、行政改革

文字『行政改革』を映す

を推進して許認可制度の簡素化をすべきです。さらに電力会社間に競争原理を取り入れるために既存の地域規制を撤廃しようという提案もあります。しかし、この規制が現在まで機能を十分果たしてきたことを考えると、最低限の安定性を維持するためのシステムとして、地域規制は残す必要があります。

[政策提言者#1]

さらに発電の新規参入者には莫大な設備投資費がかかるという問題があります。その原因は海外と比べて異常なまでの安定度をめざす日本の電気事業界にあります。このままではそんなに多くの新規参入がなされるとは思われません。そこで、新規参入を促すためには、電気の安定度を下げ、設備費が削減できるようにすることが必要です。そして、消費者が企業の安定度と料金を見比べて、電話会社のように選択できるようにします。また、さらに新規参入者を増やすために、様々な方面の企業、例えばニュータウン計画

資料「ニュータウン計画の写真」を映す

をもつ不動産業者などから、積極的な投資が及ぶようにします。

[政策提言者#2]

発電量の増加

文字『発電量を増やすために』を映す

も、料金低下には不可欠の要素です。伸び続ける電力需要に対する発電量不足はまだまだ解消されていません。この問題を解消するには、

文字『都道府県の促し』を映す

眠っている自家発電設備や経営悪化で休業中の発電設備を利用しない手はありません。そこで安い管理を行うことが可能な企業との提携を都道府県レベルで促します。

[政策提言者#1]

文字『安定性よりも効率性へ』を映す

過度の設備投資費が料金を押し上げているため、料金低下を導くためには安定性よりも効率性を重視していかねばなりません。特定電気事業者が増えると電力会社のバックアップ供給の負担がそのまま増えてしまうことになってしまいます。そこで

文字『バックアップ』を映す

安定性よりも効率性を重視すべきとの観点からバックアップのレベルを最小限に押さえるべきと考えます。

[政策提言者#2]

文字『発電方法の多様化』を映す

今回の規制緩和による経営に厳しさにより、新たな技術開発が進みません。将来の電力需要の伸びに対応するため電力会社に風力発電、太陽光発電

資料「風力などの写真」を映す

などでつくられた電力の優先的買い取り義務を課すこととします。

[政策提言者#1]

文字『新規事業への参入』を映す

また、規制緩和の一環として電力会社も電気以外の事業へ参入することを認めます。

資料「アジアの地図の写真」を映す

海外での発電事業への参加など、事業の多様化によって電力会社の活性化をはかります。これらの努力によっても、料金低下はなされるでしょう。

[政策提言者#2]

以上のように、私たちは通産省が行う規制緩和でも解決できない発電会社をふやすことや、電気料金を考えてきました。これらを解決させるにはこのような
私たちの規制緩和策しか考えられないでしょう。これで、8班の政策提言を終わります。

[電力会社]

なるほど、その規制緩和ならうまくいきそうですね。 \\ 

[パネラーみんな]

納得納得

6.おわりに

[司会者]

電気フォーラムin藤沢 '95は、新たな政策提言という、大きな成果を得ることができました。皆さんが電気事業界における規制緩和について、意識を高めていただけたとしたら、私たちのプレゼンは成功といえます。
ご静聴ありがとうございました。


−−終−−



Atsushi Kusano
Thu May 8 15:35:48 JST 1997