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朝日新聞社

1995年6月28日/朝日新聞社経済部 辻陽明氏

1.先頃、規制緩和推進計画が出され行政改革委員会が発足しましたが、今の体制のままで規制緩和は成功すると思いますか?
◆絶対にしない。

2.官僚はどのような理由と方法で規制緩和に反対するのでしょうか?
◆官僚は利権獲得には熱心。これは代々続いてきたこと。権限を争うことによってノ ンキャリア組の天下り先が確保され、それによって組織に活力が生まれている。し たがってその権限を奪い去る規制緩和には反対するわけである。 規制緩和を妨げる方法としては以下のようなものが使われている。

(1)官僚OBを審議会メンバーとして送り込む。

(2)ヒアリング実施を拒否する。

(3)審議会に族学者を呼び、官僚に都合のいいことを言わせる。

(4)記者クラブを利用して世論形成をはかる。

(5)族議員を利用する。

(6)要求に対して、緩和項目を出すふりをして実質的には何も出さない。

3.官僚とは反対にマスコミは総じて規制緩和には賛成のようです。しかし、規制緩和から起こる倒産や失業などの「痛み」についてはあまり報道がなされていないよう ですが、それはなぜでしょうか。そのような社会的コストについてどう思いますか。
◆マスコミが言わなくても規制緩和の痛みは他団体が言う。確かに規制緩和は社会的 コストを伴うが、社会のシステムを変えていくことは高齢化社会に対応するために も不可欠。例えば中央省庁の再編や、官→民、中央→地方の権限のシフトなどがそ れにあたる。一部のセクターのみが規制によって保護されているのが現状。

4.これからの規制緩和報道はどうあるべきだと考えていますか。
◆規制緩和の全体像を伝えるのは難しい。そのうちのいずれかの部分を強調するべき だと思う。

5.朝日新聞の論調では社会的規制の緩和には慎重なようですが…
◆必ずしもそうではない。

6.日本も規制緩和をアメリカのように徹底的に進めるべきなのでしょうか?
◆もちろん進めるべき。急激な高齢化を迎えようとしている今、規制緩和を徹底的に 進めなければ日本は存在しえない。

7.規制緩和を進めるためには世論の力が大切ですが、消費者に規制緩和を訴えるためにはどうしたら良いでしょうか?
◆マスコミがもっと記事を書き、人々がもっと声をあげること。次の政治のリーダー がNGOかボランティアから出るということも考えられる。

8.規制緩和の一番の障害は何だと考えますか?
◆情報を出し惜しみする官庁。特に総務庁は国民・企業に「もっと勉強しろ」と言う 前にまず情報を出すべき。 また、例えば規制に対して文句をいった銀行を税務調査して営業を妨害するという ことが起こったこともある。



Atsushi Kusano
Thu May 8 15:35:48 JST 1997