日本の酒税法では酒の種類によって1Klあたりにかかる税金額を指定している。酒類に よって分けるこの制度を分類差等課税制度という。(図2参照)図を見ても分かるとお り、「ビール」というものにも細かい定義がなされている。
分類差等課税制度導入以前は、平成4年まで級別差等課税制度に従って酒税をかけてい た。日本酒に特級、1級、2級とあった所以である。しかし級別に質が違うというより も、酒税額の差によって生じる値段の違い、「高級感」の違いを象徴していた。従って この制度は輸入洋酒への非関税障壁的な意味を持たせるという海外の不満から改正をせ まられ、分類差等課税制度の導入となった。
また、図2を見ても分かるとおり、「ビール」に分類されたものは1Klあたり2220 00円、1缶に計算すると77.7円と、価格の50% を占める、非常に高い酒税がかか っている。これは他の酒類と比べても高額であるし、海外と比べても、アメリカの10 倍、税率にすると3倍にもなる。それに加えて、日本のビール製造は 政府の規制に縛られており、麦芽、ホップ、電気、水、缶などの生産コストが高いため 、結果的に国産缶ビールの小売価格はアメリカの4、5倍にもふくれあがる。
この分類差等課税制度をうまく利用し質を落とさずにビールを安く売る方法として注目
され始めたのが今話題の発泡酒である。酒税法にて定められた定義にはずれるものはす
べて「ビールではない」のである。つまり、定められた原材料の中に占める麦芽量から
1% でも少ないものは「ビール」ではなく発泡酒に分類され、高い酒税を免れることが
できるわけである。1% の麦芽量の差はもちろん味に大きな影響は及ぼさないが、「ビ
ール」であるか否かによって、値段に大きな差が生じるのだ。また、発泡酒の中でも麦
芽量の差によって3つに分類がされていて、麦芽量が67% 以上の発泡酒にはビールと
同じ額の酒税(222000円/Kl)を、25から67% 未満のものには役3分の2(1
52700円/Kl)、25% 未満のものには約3分の1(83300円/Kl)を課してい
る。今サントリーから売り出されているHop'sは25から67% 未満なので180円、サ
ッポロから売り出されているdraftyは25% 以下に属しているため160円という値段
が実現した。