このように外からはビールの商品名のみで激しい競争が繰り広げられているように見
られがちなビール業界であるが、高い税額に悩まされながらその税額をカバーするた
めの工夫が日夜試行錯誤されている。また、困難な新規参入についても今まで見てき
たように様々な形で努力がなされている。しかし、それらのどれをみても現存の規制
にどれだけうまく引っかからないようにするかを考えているようにしか見えない。故
にすべての問題点は規制緩和が遅れているというところに行き着くのではなかろう
か。例えば、マイクロブロワリー産業がいち早くのびたアメリカでは、スライド課
税方式により同じビールでもマイクロブロワリーのビールは税率を下げ、新規参入
もしやすいようにされており、消費者の選択の幅がより広がるような工夫がなされて
いる。このような斬新的な規制緩和が今、日本のビール業界には求められているので
ある。規制緩和にはリスクはつきものであるがそのリスクを過剰に恐れず規制緩和を
更に進め新しい産業を興し、従来の産業にもより一層の競争力をつけることこそ、
この長引く不況を克服する唯一の方法なのではないだろか。