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エボラ出血熱に関する情報公開

第1章で述べたように、エボラ出血熱に関する情報公開の調査は、結果的にはプレゼンテーションには組み込まれなかった。しかし、この問題について我班の渋谷君がかなり詳しく調べているので、章を設けて紹介しておく。

昨今、エボラ=ウイルスがザイールにおいて猛威を震っている。エボラ=ウイ ルスとは、具体的に言うとフィロウイルスというウイルスに属する。そして、 そのフィロウイルスは3 種に分類できる。つまり、マールブルグ(致死率25%)、 エボラ=スーダン(致死率50%)、エボラ=ザイール(致死率90%)である。ここ で恐るべきは、現在ザイールを襲っているのは致死率90%の最悪のエボラ=ザイールなのである。
ユーサムリッド(アメリカ陸軍伝染病医学研究所)では、伝染病の危険度に応じて0、2、3 、4、の4段階のランクを設けてある。(なぜか1は存在しない。)これによると、あのエイズウイルスですら微生物危険レベル2にすぎないが、エボラは微生物危険レベル4に属する。このことからも、エボラ=ウイルスがどれだけ恐ろしいものかが分かると思う。
しかし、多くの日本人はこのウイルス禍を対岸の火としか見ていない。ここにショッキングな記事がある。1992年10月14日付け朝日新聞朝刊の29面に「エボラ出血熱か アフリカ旅行帰り 千葉の男性が死亡」とある。そしてこの新聞の中では、「エボラ出血熱に感染した疑いが強い」としか書いてなく、断定はしていない。具体的には新聞記事を参照してもらうよりないが、我班としては草野先生によって割り当てられる省庁とは別に、厚生省へ行き、その男性の死因をはっきりと突きとめ、その後にの2次感染の存在を確かめ、現在のザイールに対して村山政権としてはどのように考えているのか、具体的には、ザイールへの援助・日本のエボラに対する医療機関の存在及びその創設、などについて聞いてみたい。
(参考文献「ホット=ゾーン」上下巻 Richard Preston 高見 浩(訳)飛鳥新社)

そこで班の活動とは関係があまりなかったが、別行動として厚生省を訪問することになった。その結果は、

  1. 死因
    千葉の男性はエボラ出血熱には感染してはいない。エボラ=ウイルス及びマールブルウイルス、ラッサ熱などの反応は全て陰性であった。しかし、その死因は解明できなかった。原因不明。
  2. 二次感染の存在
    二次感染の心配はない。
  3. ザイールへの援助は考えているか。
    今のところ考えていない。
  4. 日本のエボラ対策医療機関の存在
    東京、大阪に一つずつある。
と、報告書と口頭で教えていただいた。(応対者の親切な対応に感謝しています。)
この報告をグループワークの主旨である情報公開に照らし合わせると、厚生省はアフリカ帰りの千葉の男性についての報告書のうち一部だけは、「これは上の許可がないと駄目なんです。」といって公開してくれなかった。しかし、情報公開の点で言えば向こうの対応といい公開の程度といい、この厚生省の対応は合格といえるのではないか。



Atsushi Kusano
Thu May 8 15:35:48 JST 1997