ネガ方式(非公開とすべき情報を全て挙げ、それ以外は全て公開する方式)とポジ方式(公開すべき情報を全て挙げる方式)のどちらを選択するか決めるため、それぞれの利点と欠点を挙げてみた。
ネガ方式の利点
将来的には新たな情報が生まれてくるわけだが、ポジ方式だとそれが非公開に含まれるが、ネガ方式の場合には公開に含まれるので、ネガ方式の方が公開範囲が広くなる。
ネガ方式の欠点
1. 新たな情報が果たして常に公開していいものなのかという疑問がある。2.適用除外項目以外は原則公開であるが、その内容が特定できないため、行政の「存在しない、廃棄した、見当たらない」という言い逃れがしやすくなってしまうという欠点がある
ポジ方式の利点
行政の「存在しない、廃棄した、見当たらない」という言い逃れを防ぐことができる。
ポジ方式の欠点
公開するとされているものは確実に公開してもらえるが、その他は非公開と定められてしまっているので、開示要求拒否に対する不服の申したてようがなく、救済制度が働かない。
以上のようにネガ方式、ポジ方式の利点、欠点を挙げたが、どちらも一長一短がありピンとこないので私たちは深く悩んだ。そこで考え出されたのが、ネガ方式とポジ方式をくっつけてみてはどうかというものであった。名付けて「ネガ・ポジ並立方式」である。この方式は「適用除外」を設け、さらに公開する項目も挙げるというものである。また、「適用除外」と「公開」部分の判断は行政が行い、国民からの不服申したてが出た時には救済制度を用いるという捕捉をつけた。
では、この方式の利点と欠点はなんであろうか。利点としては、「公開」する項目を可能な限り広げることが大切であるが、そうすることにより曖昧な部分を少なくすることができることと、「適用除外」項目以外に「公開」する項目も挙げているので、行政の「存在しない、廃棄した、見当たらない」という言い逃れを防ぐことができることが挙げられる。欠点としては、内容が煩雑で膨大な時間がかかるという実務面が挙げられる。
ネガ方式、ポジ方式、そしてネガ・ポジ並立方式とみてきたが、総合的に考えると、ネガ・ポジ並立方式が一番良いというところにたどりついた。なぜなら、ネガ方式とポジ方式の欠点をなくし、利点を混ぜ合わせることができたからである。
このようにして私たちはネガ・ポジ並立方式を採用することにした。
さらに詳しく説明するのなら、まず、ネガ方式が基礎となる。情報は原則公開で、例外のみ非公開となる。そのため、公開する項目にないものであっても、原則的には公開となるわけである。一般には、ネガ方式に加え、公文書の目録作成などが指示されるが、それを保有者たる行政機関のみに任せず、法で定めた方がより情報の公開が確実と考えられる。そこで、ポジ方式の利点をも採り入れることにした。要するに、文書の保護基準を同時に明確化した、ということである。そうでないと、公開の対象となるべき情報の範囲・内容が一義的に定められないことから、請求者の必要とする情報が記録されないおそれがある。