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諸外国の情報公開法案

1994年現在、OECD25か国中、以下の12か国で情報公開法が制定されている。

スウェーデン(1766)、フィンランド(1951)、アメリカ(1966)、デンマーク(1970)、ノルウェー(1970)、フランス(1978)、オランダ(1978)、オーストラリア(1982)、カナダ(1982)、ニュージーランド(1982)、オーストリア(1987)、ベルギー(1994)。イギリス、ドイツなどでは情報公開法は制定されていないgif 。 

前出の分類法により整理すれば、各国の情報公開法は次のような傾向を示す。

  1. 個人識別情報等                             
  2. 企業秘密等法人不利益情報                        
  3. 国の安全、対外関係情報
  4. 犯罪捜査等公共の安全。秩序の維持関係情報      
  5. 事業執行に支障をきたす情報(意思形成過程情報を含む)        
  6. 法令・条例などにより、非公開とされている情報              
  7. 国家特有のハイ・ポリティクス関連(特にマクロ経済問題)
  8. その他
 各国の情報公開法について最も特徴的なのが、経済に関連した情報の不開示である。日本に於いていかなる情報公開法の議論にもみられないのが不思議なほど、諸外国は通貨政策の情報や国家経済、国際経済に影響を及ぼす情報の扱いに関して重大な関心を抱いている。しかし、これは逆にそれだけ日本の危機管理の認識に問題があるということなのであろうか。例えば中央銀行の協調介入などの情報は、協調介入をしたという事実が衆知となることでさえ、自体が協調介入の実効性を失わせるのであるgif 。経済大国たる日本がこの問題に無関心でいていいはずはない。

しかしながら、それぞれの国で思わず失笑を誘うような規定も多々為されている。「連邦と州との関係を損う恐れのある文書gif 」「動植物の種の保存」等は、まだ切実な問題としても、「開示すれば議会侮辱または裁判所侮辱となる文書」に及んでは、そんなものを保有していること自体問題ではないのか、という疑念を持たざるを得ない。



Atsushi Kusano
Thu May 8 15:35:48 JST 1997