情報公開に関する一般論を知った所で我々の問題意識はやはり漠然としたまま で、調査は遅々として進まなかった。そこで我々は独自に情報公開について考 えを深めていくことにした。
主権者である国民は行政が行なう政策が適切であるかを判断、チェックする権 利と義務がある。しかし残念ながら行政側が国民に公開する情報は少なく、国 民は政策内容を知ることが困難なため、そのような判断がほとんど不可能なの が今の実相だ。現在、国民の意識が情報公開制度制定に向けて動いているのは こうした状況を打破し国民自身で政策の是非を判断したいからではないだろう か。
行政側から得た情報は国民自身が政策の是非を判断する際の助けとなる。より
多くの正確な情報を得ることでより適切な判断を下せるようになる。したがっ
て我々は情報公開制度を
「国民の適切な判断を助ける十分な情報を提供する制度」
と考えることにした。
我々はこのような独自の考え方をもつことによって情報公開に対するこれまで
のつかみ所のない漠然とした問題意識から
「現状の制度によって公開されている情報は国民の判断に役立つ有効な情報な
のだろうか?」
というはっきりした問題意識をもつことができるようになった。
したがって以下第二章からは現状の情報公開制度が上に述べたような制度になっ ているかどうかを検証してみることにする。