next up previous
Next: あとがき、感謝 Up: 無題 Previous: 結論について

本当にやりたかったこと(付録)

  私たちは、このような目的を持ちプレゼンテーションを行なったわけだが、少し残念だったことに、持ち時間13分というのは、非常に短く、今までやってきたことの多くを削らなければならなかったし(そのためにプレゼンテーションの数分前まで、どこ削ろうかともめていたし)、聞いている人にもよくわからないプレゼンテーションになってしまったような気がする。とりあえず、奇跡的に(ぶっつけ本番で)時間内におさまってよかった、と終った時に思ったものである。
  また、本番が迫ってきてこのままでは危ない、間に合わないからそれぞれプレゼンテーションの台本考えてこよう、と一人一人のプレゼンテーション案を書いてきてもらったので、本当はこれがやりたかったという章をつくりたいと報告書の話をもらった時思ったのである。
  でも、ここで、それらをひとつひとつ紹介していくことは無理があるので、もしかしたら今までの章の焼き直しになるかもしれないけれども、まとめてみようと思う。
  まず、情報公開は国民一人一人が公正な判断を下すために必要であるという意見を多くの人が述べている。ここで、国民の意識の向上という問題をどう解決するのかについては、いろいろな意見がある。記者クラブ(マスメディア)が国民の求める情報を行政から公開させていけばよい、といったメディアが国民をリードする状態を考えたり、情報公開制度によって流れてくる情報の質は変化するので、それに対応する(行政、マスメディア、国民の)意識の変化は長期的に見てあるのではないか、という意見や、情報公開も行政改革も国民のためのものでなければならないのだから、国民はそれを受け止める意識を持たなければならない、とした意見もあった。
  また、シミュレーションに関連しては、記者クラブを改善しようという意見が多く、記者クラブの効率の良さを認め、閉鎖性を改善していけば情報公開は進む、というものや記者クラブの情報の独占状態を改めて、多様な情報が流れれば、国民の行政監視能力は高まる、という意見があったが、現代社会には行政、マスメディア、世論(国民)の三極構造が存在するが、記者クラブによってそれがゆがんでしまっている。それを改善していけば情報公開は進む、といったり、国民が情報公開制度を積極的に使うことが、メディアの競争を強めるといった意見もみられた。
  その他に、情報公開制度のない社会では、人間関係でニュースソース側とつながるメディアによる行政の批判はなかなか難しいとして、情報公開は全ての人が行政に対してアクションをとるための条件である、という意見や、情報公開は国民主体で行なわれるのが望ましいのに、現在進められている情報公開や今流されている行政情報は官僚がイニシアティブを握っている。そう考えれば、今の記者クラブのあり方、特に生の情報を国民に正確に伝えているとは言い切れない点は国民の不利益につながっており、非常に問題があるとした意見があった。
  完全に書き連ねているだけになってしまったが、これらはメンバーの書いてきたプレゼンテーション案を参考にしている。そして、よくみていけば、それぞれが記者クラブという一つの事例をちゃんと通って、情報公開について考えている。その結果、私たちは情報公開は必要であるという結論にたどり着いたし、それはいいことではなかったかと思う。
  しかし、本当にやりたかったことは、情報公開の必要性の証明にとどまらない。私たちは常に、行政改革なり国民の政治参加といった「よりよい社会」をつくる、ということを最大の目標としてきたと思う。それだけ、この報告書の終りに述べておきたい。



Atsushi Kusano
Sat May 10 19:30:05 JST 1997