まず、キーとなるのは中間所得者ではないかということを前提に考察してみる。
第一次選挙でクリントンが当選したのには、中間所得者の支持が大きい。クリ ントンもその公約のなかで中間所得者の減税を唱え、富裕層からの増税を訴え て中間層の支持をつけた。 しかし、94年の中間選挙ではこうした白人中産階級が「反クリントン」、「反 ワシントン」派にまわって共和党に加担したとみられる。こうした中産階級の 動きの原因は何なのか。
1992年における世論の期待度をみてみると、
クリントンも同改革を最重要の公約として力を入れていた。
また、財政赤字の削減を行う場合想定せざるをえない増税については、約70%
が予想し、うち72%が富裕層への増税を歓迎したとはいえ、中間層の増税には
54%が反対していた。また、クリントン政権に対し不安を感じる人も45%にの
ぼっていた。
このような背景にいたにもかかわらず、クリントン政権は財政赤字削減を最優
先課題にする方向に傾きはじめ、前ブッシュ政権の財政赤字が予測よりも700
億ドル増えたことも起因して、中所得者への増税を決意し、負担の大きいエネ
ルギー税の導入を図った。これは、中所得者をはじめとする国民には公約違反
の行為にとらえられた。