以上のような理由から、アメリカは中国に対して積極的な関与という政策をとっ
ていくであろうし、最恵国待遇も更新するものと思われる。そして今後、両国
とも政府高官の相互訪問などを積極的に行い、戦略的対話の発展や和やかな雰
囲気作りを目指していくであろう。現在のところ米中関係をひっくり返すほど
の重要な案件がないとはいえ、中国は台湾に関して神経質になっているためア
メリカが台湾に対して曖昧な行動をとると一気に米中関係が崩れる可能性もある。
また、知的所有権の問題や対日貿易赤字をも上回る対中貿易赤字などの経済摩
擦なども今後の問題点として指摘できるであろう。
また、人権問題と経済協力関係を切り離すといった、アメリカのダブルスタン ダード(いわゆる二重基準)は今回のMFN更新に際しても顕著だった。中国が 国際社会にふさわしいメンバーになるように促す一貫として中国の人権抑圧を 非難する一方、中国市場へ積極的に進出する。これは、米国が世界の超大国の 責任として、現実的な対応をとらざるを得ないことを示しているといえよう。