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国内政策

内政問題では2期目の政権の最大政策課題として2002年に財政赤字 をゼロにするという「財政均衡計画」があげられる。実現に向けて中間所得層 向け減税を実施し、その減税が教育・医療費負担、子どもの養育費負担、さら に住宅売買負担を軽減するものと位置づけている。クリントン大統領は200 2年までに財政均衡を実現するための詳細の計画を提示しており、今期議会を 財政均衡を最終的に実現する議会にしていくことを目標としている。その際、 メディケア(高齢者医療保険)、メディケイド(低所得者医療保険)、教育、 環境の保護を述べ、これらの社会保障の保全、メディケア改革の方法に関する 超党派的合意を実現を目指す。故に、今期の最大政策課題である、この財政均 衡を達成する上で議会共和党との協調が必須であり、超党派の協力体制づくり を意識した人事が行われる最大の理由の一つと言えるだろう。

次の政策課題として選挙資金制度改革をあげており、超党派の選挙資金制度改 革法案を成立すると公約している。マケイン、ファインゴールド両上院議員と シェイズ、ミーハン両下院議員が両党間の境界線を乗り越え、選挙資金制度改 革法案を作成したことをうけ、今後も超党派の協力体制を維持し、法案の可決 を目標している。ここでもクリントン大統領は超党派の協力体制を強調してい るといえるだろう。

その他、昨年の記念碑的福祉改革法案を成立させた流れから、2000年まで に更に200万人を福祉対象から抜け出させることを目標に掲げている。実際 に福祉対象者を雇用する企業には減税などの優遇措置を適用するとし、福祉対 象者向けの雇用創出を促すため、就職あっせん会社や州に優遇措置を適用する。 更に就職促進のために職業訓練、通勤援助、子女養育などの制度を実現すると している。

また最優先課題として教育改革をあげており、10項目の原則をあげ、米国民 が世界最高の教育水準を誇れるようにすることを政策としてあげている。教育 がアメリカの将来に関する重要な安全保障問題とし、2月4日に議会で行われ た一般教書演説でもインターネットの活用を含めた細かい教育改革への計画が かなりの割合を占めている。その他、インターネットの普及や宇宙開発などの 科学技術への投資拡大、医学へのコミットメントの強化、更に青少年犯罪への 対策なども盛り込まれている。

しかし、今期の最重要課題として教育改革と供にやはり財政均衡化計画を中心 に据えており、市場最大の麻薬対策を盛り込んだことや、財政均衡化計画に5 10億ドルと過去最高の予算を盛り込んでいることにも伺える。このような内 政政策を実現していく上で、議会多数派の共和党の協力を取り付けたいクリン トン大統領の意向が大きく閣僚人事に影響していくと言えるだろう。



Shuichi Shibukawa
Thu May 15 15:42:32 JST 1997