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次に外交面でのクリントン政権の政治方針が、人事に与える影響について考え
てみる。
二期目のクリントン政権の外交は、これまでの実績をベースに過去の経験をい
かし、国際社会における米国の責任を認識しながら、展開していくであろう。
冷戦終結後のヨーロッパ政策においては、NATO東方拡大を強力に打ち出すなど、
新しい国際秩序の布石を打っておきたいという意識もみられる。二期目を迎え
るクリントン政権の外交政策の戦略目標としては以下の五項目が明示されてい
る。
- 北大西洋条約機構の拡大を軸とした民主的な統一欧州の建設
- アジア・太平洋地域との関係化
- 麻薬、テロ、環境破壊といった新たな安保上の問題と、これらを助長す
る国々への対応
- ボスニア・ヘルツェゴビィナや中東での和平
- 米国民の雇用を創出する世界経済の枠組み構築
これが、バーガー補佐官が列挙した戦略目標である。この中でも1のNATO拡大
と、2に含まれる「対中外交」は重点目標だとみなされている。歴史に名の残
る大統領となりたいクリントンにとって、「統一ヨーロッパの構築」は、特に
挑戦し続けていきたい課題であると思われる。これらの外交政策方針が、いか
に外交担当の閣僚人事に影響を与えているかについては、次章で詳しく述べて
いきたい。
Shuichi Shibukawa
Thu May 15 15:42:32 JST 1997