1997年4月、当時修士1年だった井庭崇と、学部4年だった福原義久は、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)で「複雑系勉強会」という自主的な勉強会を企画した。毎回井庭か福原が複雑系に関連するトピックをプレゼンテーションするという方法で、計9回行なわれた。参加者には、コンピュータ・サイエンス、認知科学、経済、政治、建築、言語、アートなど幅広い興味をもった学生約50人が集まった。
各回のテーマ
- 第1回 4月15日 「複雑系とはなにか? 〜非線形と創発現象〜」
- 第2回 4月22日 「カオスの縁とλパラメータ 〜秩序と無秩序の隙間〜」
- 第3回 5月 6日 「カオスとは?」
- 第4回 5月13日 「自己組織化臨界 〜自然や社会に隠れた法則〜」
- 第5回 5月20日 「フラクタルとは?」
- SubClass 5月27日 「ニューラルネットワークの基礎 〜最適化の手法〜」
- 第6回 6月 3日 「カウフマン・ネットワーク 〜進化と複雑系〜」
- 第7回 6月10日 「収穫逓増の法則 〜複雑系として社会現象を読み解く〜」
- 第8回 6月17日 「カオス結合系 〜日本の複雑系研究〜」
勉強会の風景
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お世話になった鈴木健くん(右から2人目)と。
そして本の執筆へ
この勉強会の途中で、「本を書こう!」ということが2人の間で固まった。さっそく、複雑系の本が出しそうな出版社に交渉しようということで、WWW上で編集者のメールアドレスが載っていたNTT出版へメールをした。メールには、企画の意図と内容、そして簡単な履歴書のようなものをつけた。
編集者の方が、この勉強会で作成した資料と実際の会を見に来てくれて、気に入ってくれた。そして、怒涛の執筆生活が始まるのである。つづく。