【英語で読む!講座】 Thing Knowledge (物のかたちをした知識) その1
2008.12.22 Monday 13:32
井庭 崇
Imagined World (科学の未来)に引き続き、新しい観点の科学哲学の本を取り上げることにしたい。
今回紹介したいのは、科学的な知識というものは、理論のなかだけにあるのではなく、物のなかにもあると主張する Davis Baird の Thing Knowledgeimage[] という本だ。ふつう、知識というものは、形式的なものであれ、暗黙的なものであれ、「物」ではないと考える。というよりも、そもそも知識が物というかたちをとっているという発想はない。
Bairdは、この本で、物が体現する知識というものに着目し、その視点の重要性を唱える。科学的な装置は、単に理論を生み出す補助的な道具なのではなく、そのものが知識だというわけである。
この新しい知識論は、概念・方法・道具という軸で研究する僕にとっては、かなり重要な視点となる。具体的にいうと、「思考の道具」としてのシミュレーションモデルとは何か、ということを真に理解するためにも、この"Thing Knowledge"という考え方は重要なのだ。
image[Book_ThingKnowledge.jpg]image[]Davis Baird, Thing Knowledge; A Philosophy of Scientific Instrumentsimage[], University of California Press, 2004
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