【英語で読む!講座】 Thing Knowledge (物のかたちをした知識) その1
2008.12.22 Monday 13:32
井庭 崇
"materialist epistemology"の"materialist"は、"materialism"の立場(の人)という意味だが、ここは少し注意が必要だ。"materialism"は、分野によって、物質こそが真に存在するものだとする「唯物論」や、 宗教や超自然的な解釈を排除する「実質主義」、「実物主義」、「実利主義」など、いろいろな意味があるからだ。ここでは、「唯物論」や「実質主義」というような物に極端に偏る強い意味ではなく、「言葉」に対する「物」という点を強調して使われている、と捉えるべきだろう。このことは、「理論」と「物」の両方が知識である、と主張していることからもわかる。
"instruments"は、「器具」、「器械」、「道具」、「楽器」などの意味があるが、道具のなかでも精密なものを指す場合が多い。"instrumental"は、「助けになる」、「手段になる」という意味。
"on (a) par (with)"は、「同様で」、「同等で」という意味だそうだ。
話を本の内容に戻そう。「物のかたちをした知識」も知識として捉える認識論は、従来の認識論の枠組みのなかに位置づけることができないが、科学と技術の関係を考えるうえで重要だという。
"The kind of epistemology that I advocate here brings out relationships that, while of recognized importance, have not found a comfortable place in the philosophy of science and technology."(p.17)
「私がここで唱えるような認識論は、重要性は認識されてはいるが、科学と技術の哲学に収まりのいい場所を、まだ見いだしていない。」(邦訳 p.46)
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