【英語で読む!講座】 Thing Knowledge (物のかたちをした知識) その2

2008.12.23 Tuesday 00:40
井庭 崇



"Faraday's work resulted in several products."という言い回しは、結構使えそう。プロジェクトが、いくつかの成果を生み出すことはよくある話だろう。

"apparatus" は、「器具」、「道具」、「装置」という意味だが、「一組の器具」や「装置一式」というニュアンスをもっている。"dexterity" は、「器用さ」、「腕前」、「うまさ」。
二文目の"striking"は、「目立つ」、「人目をひく」、「印象的な」。"current" は、ここでは「現行の」という意味ではなく、「電流」。

"The observed behavior of Faraday's apparatus requires no interpretation." と "While there was considerable disagreement over the explanation for this phenomenon, no one contested what the apparatus did" の部分は、"Thing Knowledge"を理解する上で重要な部分。実際に目の前で、回転運動をしているという事実は、解釈や理論を介さずとも事実なのだ。それがどのように可能となっているのかという「理論」の知識とは別に、そこに回転運動を体現している「物のかたち」をしている知識がある。これが、まさに Bairdの言う"Thing Knowledge"というわけだ。このことをBairdは、次のように象徴的な言葉で書き表している。

"we learn by interacting with bits of the world even when our words for how these bits work are inadequate."(p.3)
「この動きを言葉にして表したことが間違っていてさえ、われわれは世界のある断片をやりとりすることで、何かを学んでいる。」(邦訳 p.26)

訳文ではわからないが、"world"、"words"、"work"あたりの重ね具合がうまいところ。

そしてBairdは、この装置がもつ知識のことをわかっていたからこそ、ファラデーは手紙だけでなく装置も送ったのだ、という。

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