“つくる数学” と “つくる授業”

2010.10.26 Tuesday 15:09
井庭 崇


今年度から担当することになったSFCの科目「複雑系の数理」も、授業のやり方について新しい試みをしている。

この科目では、複雑系の科学で行われている「つくることで理解する」(構成的理解)を実際に体験しながら、カオスなどの概念・理論を理解することが目指されている。

「つくることで理解する」ことを目指すからには、単に与えられた課題をこなすのではなく、自分たちで「つくりながら」学ぶことが望ましい。できあがった理論をただ暗記するのではなく、研究者が日頃行っているような試行錯誤をしながら前に進んでいく感覚を味わってほしい。


そこで、履修者たちが自ら授業を「つくる」という方式にすることにした。いうなれば、「つくる数学」を学ぶための「つくる授業」。

ふつう、大学の授業というのは、教員が概念を説明し、演習用プログラムも配布し、質問にも答えるというかたちをとる。しかし、このやり方で一番「学び」が多いのは、実は、授業準備をする教員であって、その話を聞く学生はその一部しか得ることができないことが多い。

そんなのはあまりにも学びたい学生に対して失礼ではないか!ということで、この科目ではまったく違うアプローチをとることにした。履修者に一番学びが多くなるような授業設計だ。具体的にいうと、履修者自身が事前に概念・理論を調べ、勉強し、他の履修者に説明する。演習用プログラムも用意し、質問にも答える。

image[Complex1.jpg]

実際どのように進めていくのかというと、履修者は3人でチームを組み、各チームはテーマ候補から、1つを選択してもらう。あとは、自分たちの担当の回までに授業準備をし、当日、他の履修者(と僕)に向かって授業をする。

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