メディアとしての学習パターン:対話ワークショップの狙い

2010.10.26 Tuesday 00:18
井庭 崇



しかも、実際に話すと、体験談を知りたいと思っている人が、「なるほど!」と、うれしそうに聞いてくれる。

このように、学習パターンがメディアとなり、多くの人のなかに眠っている「学び」の経験談を、コミュニケーションの俎上にのせる。この経験は、その場でのコミュニケーションを誘発するだけでなく、自分の学び方や経験についての振り返りの思考を促すことにもなるはずだ。


全員が、聞き手であり語り部であるという対称性をもつことはすでに書いたが、学習パターンを用いたワークショップは、聞き手の立場にいても、語り部の立場にいても、学びについて考える機会となるのである。

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実は、去年から学習パターンを用いたワークショップの案については、井庭研/学習パターンプロジェクトでは議論を重ねていた。しかし当時は、「学習パターンを知ってもらう」という意図で構想していたため、面白そうなワークショップを思いつくことができなかった。

今回のワークショップは、みんながもっている(ささやかな)経験を、学習パターンの光のもとで語ってもらう、という「語り部」への着目が功を奏したと思う。


特に意識してはいなかったが、この発想の転換が可能だったのは、もしかしたら今年の春にお会いした今村久美さんの「カタリバ」の話の影響が、僕のなかに残っていたからかもしれない(今村さんにお会いしたのは『三田評論』座談会)。もしそうであるならば、出会い・語り合うということは、未来を変える可能性をもっているということになる。

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[Serene Bach 2.20R]