KJ法のコツ(パターン・マイニングのための収束思考)

2012.05.10 Thursday 10:45
井庭 崇



そして、KJ法では、一度近づいたものもまた離れたり、一度まとまったものもまたばらけたりすることが頻繁に起こる、ということを十分理解することも大切。そうしないと一度考えたことにずっと囚われることになってしまう。すべてが一時的で流動的でありながら、徐々に組織化がなされていく。

なので、中盤でまとまりが認識できるようになってきたとき、早くペンや鉛筆で囲ってしまいたくなる衝動にかられるのだが、そこはぐっと堪えたいところ。まとまりを丸で囲ってしまうと、心理的に安心してしまって、もうそこは不動のものとなってしまう。この安心感も、KJ法の敵である。

まだ場所が定まっていない付箋を、一度場外に出してもよいか、という質問も受ける(場が複雑で読み取りにくいという理由)。僕の答えはNO。すべての付箋は、その空間上に置くべき。変なところに置いてあるのであれば、それが違和感や気持ち(居心地)の悪さを生み、早く動かそうという気持ちを生む。

この「混沌」とした状態からはじめ、「混沌」としたものと徹底的につきあうというのが大切だと思っている。それが川喜田二郎さんの言う「その混沌のなかから、“何とかしなければならない”という意思が生まれてくる」ということだと思っている。

image[cpp-kj3.jpg]


もうひとつ、付箋を場外に出してはいけない理由は、まだ誰とも近づいていない付箋同士が近づく可能性もあるからだ。場外に出してしまうと、場外に出したものをなかのまとまりに吸着させていく、という作業になりやすい。これは、先ほど書いたようにまずい。

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