パターン・ランゲージのつくり方:部分展開と全体構築の2つのアプローチ

2012.05.26 Saturday 09:32
井庭 崇


僕の経験からすると、パターン・ランゲージのつくり方には、大きく分けて二つのアプローチがある。ひとつは、いくつかのパターンから書き始めるというもの(部分展開アプローチ)。もうひとつは、全体像を明らかにしてから個々のパターンを書くというもの(全体構築アプローチ)である。

image[TwoApproachs.jpg]


いくつかのパターンから書き始める部分展開アプローチのメリットは、1つのパターンを書くことからでも始められること。つまり、それほど時間がかからずに、少数のパターンができあがるので、それを利用することもできるようになる。

部分展開アプローチのデメリットは、各パターンが「全体」のなかでどの位置を占めるのかがわからないまま、パターンを書かなければならなくなる点。全体像が見えていないので、どのような粒度や抽象度で書けばよいのかが定かではなく、最終的に一貫性や整合性がとれなくなる可能性もでてくる。

image[PartsApproach.jpg]


全体像を明らかにしてから個々のパターンを書く全体構築アプローチのメリットは、全体像がつかめるので、個々のパターンの役割や関係性を意識して書くことができるようになる。また、他のパターンと粒度や抽象度を合わせることができるので、全体として一貫性や整合性のとれたランゲージになる。

全体構築アプローチのデメリットは、かなり大掛かりなプロジェクトになるということ。パターンを書く前に、ブレインストーミングやKJ法など、全体像をつくるためにかなりの時間を費やすことになる。また、パターンの候補も一気に数十個(僕らの経験則だと50個前後)が得られるので、書くのも大変になる。

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