生き生きとした学びの実現に向けて(アレグザンダーの文献から考える)

2012.08.27 Monday 14:22
井庭 崇


このような理由から、そこに住む人たちに本当に合ったものなどつくれるはずがない、と考えたのだ。以上の問題意識から、アレグザンダーは住宅の新しい生産の仕組みを考え、提案したのである。

そこで私たちは、このような遠くからのコントロールに替えて、家族自身がコントロールするプロセスを提案します。標準化された住宅ユニットという考え方ではなく、そこに住む家族が住宅(や集合住宅)をデザインするという考え方です。個々の住宅は家族独自の必要や性格に十分に対応するようにデザインされます。そうすれば、情感の面からみても、住宅は本当の生活の基盤、心のかよう場所、さらには家族が社会の中で独自の存在として根を下ろし、成長していく場所となるのです。(p.118)

新しく住宅が建てられる時、その配置計画や基本的な構成は、開発業者や建設業者あるいは政府から出されるのではなく、そこに住む家族自らの手で生み出されるべきです。そうしてこそ、一つ一つの住宅がその家族独自の希望や夢を表すものになるのです。
そのためには、家族がこのことを効果的に実現できるような、何らかのシステム化されたルールやパタンランゲージ、あるいは同様の使いやすい手段が必要です。(p.113)

こうして、自分たちで自分たちの住宅の設計に関わることができるようにするためのパタン・ランゲージが開発されたのであった。

僕らが作成した、ラーニング・パターン(創造的な学びのパターン・ランゲージ)は、学習者が自分たちで自分たちの学びをデザインすることができるようにするための手段である。

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