「生き生きとした学び」を実現する教師の新しい役割=アーキテクトビルダー

2012.08.27 Monday 15:48
井庭 崇


前回「生き生きとした学びの実現に向けて(アレグザンダーの文献から考える)」で書いたような「生き生きとした学び」を実現する教育においては、教師はどのような役割を担うのであろうか。その発想を得るため、再びアレグザンダーの『パタンランゲージによる住宅の建設』(C.アレグザンダー他著, 中埜博 監訳, 鹿島出版会, 1991, 原著1985)を紐解いて、考えていきたい。

結論からいうと、「生き生きとした学び」を実現するためには、教師は、アレグザンダーのいう「アーキテクトビルダー」(Architect-Builder)になる必要がある。生き生きとした学びを実現するアーキテクトビルダーだ。

私たちの思い描く生産プロセスには、新しい種類の職能人が不可欠です。それは、現代の建築家の職能と、請負業者の職能の両面を兼ね備えた人間です。(p.51)

建築家(architect)と請負業者(constructor)の両方の面をもつとは、どういうことだろうか。

今日の社会では、全く異なった二種類の人によって建物がつくられています。彼らは建設プロセスの中で全く別の役割を担当しています。一方は建物を設計する人、もう一方は施工する人、つまり建築家と請負業者です。
私たちはこの分業、職能分離は全く間違ったものであり、この分業体制の中では健全な環境など創造できないと考えています。(p.52)

このような分業ではなく、アーキテクトビルダーが必要なのだ。

アーキテクトビルダーという統合された存在が、健全な環境をつくるという問題解決の場面で必ず必要になる (p.52)


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