創造性(クリエイティビティ)の新しい捉え方
2013.02.16 Saturday 08:26
井庭 崇
この円環を、システム理論的にはオートポイエティックな関係という。僕の考えでは、創造は発見を要素とするオートポイエティック・システムなのである。ある発見は次なる発見の前提となり、発見が連鎖していく限りにおいて創造が成り立つのであり、そのことによって要素である発見の生起が可能になる。
創造の要素ではる《発見》とは何かというと、ある「アイデア」がいま取り組んでいる創造に「関連付け」られると「見い出す」ことができたときに生じる。アイデアは外に開かれていて、関連付けはその創造自体を指し示す。このことから、プロセスとしては「閉じ」ながら「開く」ことができるのである。
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これが、僕の提唱する「創造システム理論」(Creative Systems Theory)の考え方だ。社会学者ニクラス・ルーマンは、社会というものを意識・思考から切り分け、社会システムと心的システムを定義したが、僕はこれに創造システムを加える。
これら3つのシステムは別の論理・コンテクストで動くが、連動はしている。その観点から捉えると「創造のプロセスは、意識によって心的に転がしたり、コミュニケーションによって社会的に転がしたりする」と捉えることができるようになる。これが、心理次元にも社会次元にも還元しない、創造性の新しい捉え方である。
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