創造社会とクリエイティブ・メディア

2013.02.16 Saturday 08:06
井庭 崇


僕は時代の変化を、C→C→Cという3つのCで捉えている。

Consumption(消費社会)→Communication(コミュニケーション社会=狭義の情報社会)→Creation(創造社会)である *。

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創造社会は,人々が自分たちで自分たちの認識・モノ・仕組み,そして未来を創造する社会である。創造社会は、企業等の組織だけでなく、一般の個人が「創造」を担う点に特徴がある。

かつてP.F.ドラッカーは、「知識社会」の到来を指摘したが、そこでの主眼は企業・組織と労働者をめぐる社会的変化であった。

創造社会においても、知識社会と同様に「イノベーション」が重要であることは変わらないが、創造(つくること)が企業・組織の内に留まらず、また労働と切り離して捉えるという点で、よりラディカルである。

そう考えると、「創造社会」、ひいてはそこに至までの「社会の創造化」は、企業・組織の現象ではなく、社会の現象として捉えるべきである。

そのような観点で考えるとき、公文俊平先生の「情報社会」の議論が参考になる。オープンソース・ソフトウェア開発やWikipediaの編集などでは、従来の組織とは異なるかたちでコミュニティが形成されている。情報技術の発展により、人々は活動のなかで自由につながり組織化されていくのである。

同様に、「創造社会」では、これまで企業・組織で行われてきた創造行為が広く一般に解放されることを意味する。「創造社会」においては、人々の創造活動の過程で社会的なネットワーキングがなされ、コミュニティが形成される。

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