パターン・ランゲージ4.0(社会・コミュニティデザインの言語)の構想

2013.02.16 Saturday 10:09
井庭 崇



社会やコミュニティは、自生的に形成されるため、「デザイン」するといっても、すべてをつくるという意味でのデザインではない。そうでなく、社会の自生的な側面をい考慮にいれた意味での「デザイン」ということになる。

その意味で、1.0→2.0→3.0の流れのなかで「デザイン」の特徴が変わってきたように、4.0でも新しい特徴が加わってくる。他者と未来(の成長)に開かれたかたちのデザインとなる。そのため、デザインが、結果の直接的なつくり込みではなく、間接的な影響にとどまる。また、結果は、デザイン時ではなく、後に生じることになる。

パターン・ランゲージの目的・使い方も、これまでとは異なってくる。各人がそれぞれにもっている未来像をつなぎ、未来をつくっていくための言語となる。個々のパターンには、社会の仕組みについての認識・発想が「状況」「問題」「解決」の形式で書かれる。そして、それが社会・コミュニティの仕組みについてのひとつの発想の表明として用いられることになる。そのため、複数のパターンのなかで相矛盾する認識・発想が書かれることがあり得ることになる。

また、これまでのパターン・ランゲージは、ひとつのランゲージでは理想とされるひとつの方向性をもち、閉じていたが、パターン・ランゲージ4.0では、相互に重なり合う体系としてのランゲージが形成される。そのような開かれたランゲージを用いて、どのような社会・コミュニティをつくるのかの対話をし、議論をし、つくり込みをしていく。そのような目的で、パターン・ランゲージ4.0は使われることになるだろう。

パターン・ランゲージのつくられ方も、変わってくるだろう。一部の人が書くというよりも、多様な主体が関わり、書かれ、評価され、議論され、修正されていく。3.0までは、つくり手はあるグループに閉じられていたが、4.0では開かれたプロセスで、あちこちでつくられていくイメージである。オープンソース・ソフトウェア開発や Wikipediaの編集コラボレーションのようなものを思い浮かべるとよいかもしれない。

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