パターン・ランゲージによる診断と、診断システム

2013.02.16 Saturday 10:37
井庭 崇


アレグザンダーの本『オレゴン大学の実験』には、「マスタープラン」に代わる「診断」の原理が論じられている。昨年から井庭研で取り組み始めている診断システムとの関係を考えてみたい。

何かをつくるとき、マスタープラン、つまり基本計画をつくるのが一般的だが、そのようなマスタープランでは、ひとつの「全体」というものを創造できない、とアレグザンダーは言う。部分を集めた総体性(totality)を生み出すことはできても、全体性(whole)は創造できないという。

全体性は有機的秩序としてのみ形成可能であり、有機的秩序は漸進的成長によって生み出される。アレグザンダーは有機的秩序を「部分の要求と全体の要求との間に完璧なる均衡が存在する場合に達成されるような秩序である」、漸進的成長とは「ごく小さな歩調で前進していくような成長」であると定義する。

同書でアレグザンダーは「有機的秩序の原理」を提案する。

「計画と施工は、全体を個別的な行為から徐々に生み出してゆくようなプロセスによって誘導されること。この目的を満たすため、コミュニティはいかなる形式の物理的マスタープランも採用しないこと。・・・」

マスタープランのかわりに、「固定された未来のマップからではなく共有のパターン・ランゲージからコミュニティがその秩序を得ることを可能にする」プロセスを採用することを提案する。

漸進的成長のプロセスにおいては、パターン・ランゲージが「設計を指導していく」。パターンとは、「その環境に繰り返し出現する可能性のある課題を表し、この課題の出現する背後の状況を記し、さらにこの課題を解決するのに必要なすべての建設や計画の一般的特質を提供するものである」とされる。

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