論文の書き方を身につける方法

2014.12.24 Wednesday 08:32
井庭 崇



一度このプロセスを通じないと、論文はかけるようにならない。コツも身につかない。これは、とても本質的な学びのプロセスであって、そう意識して取り組むことが大切である。「書き上げたは道半ば」の後半戦は、一度書いたものをちょこっと直すというような、追加の些細な作業なんかではないのだ。ここにしか、実践的な学びはない。教育的な観点から言うならば、この段階を経験するために、論文を書いているようなものだといえる。これが「つくることによる学び」の論文執筆版である。

そして、このプロセスを経ることでようやく、自分たちが何をやってきたのかも明らかになっていく。論文を書くと、いかにわかっていなかったのかが露呈される。自分たちの成果へとつながるIntroductionを読んで、「そんな表面的なこと・ありふれたことをやってきたのではないでしょ」と指摘される。そうして初めて「そうだったのか」と気づいたりする。だから、論文を書くことはとても大切なのだ。すでに終わってしまったことのただの「まとめ」などでは、断じてない。

だから、学会発表に向けて論文を書くと決めて取り組んでいるメンバーは、「学びのチャンス」を自らつかんだことになる。書くことを選択しなかったメンバーたちはそのチャンスを逃したわけで、せめて執筆している人たちと僕とのやりとりを、メーリングリストに流れるメールでしっかり追って、そこから少しでも学べるところを学ぼう、という姿勢でいてくれるとうれしいと思う。

井庭研では、次の本は、絶えず手元に置いておくように言っている。輪読したり、自分で読んだりして、重要箇所に線を引きながら、何度も読む。

[7] << [9] >>
-
-


<< 2014年6〜7月活動記録
最近の井庭研の指導方針:プロジェクト × 実践 × 学会発表 >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.20R]