Creative Reading:『遊ぶヴィゴツキー』(ロイス・ホルツマン)

2014.12.27 Saturday 22:23
井庭 崇


先日、ロイス・ホルツマンの『遊ぶヴィゴツキー:生成の心理学へ』image[]
(Vigotsky at Work and Play)を読んだ。異色のヴィゴツキー研究者でありアクティビストである著者が、通常着目されるのとは異なる仕方でヴィゴツキーに着目し、ソーシャルセラピーや即興的なパフォーマンスと絡めて論じている本である。

この本のスタンスというか方向性に、僕はかなり共鳴する。そして、そこで取り上げられるヴィゴツキーの引用やその解釈にしびれた。

例えば、本書で何度も取り上げられるヴィゴツキーの次の言葉。

探求の方法は、人間独自の心理活動の形態を研究するという企図にとって、最大限に重要な問題となる。この場合、方法論は、前提であると同時に産出物でもある。つまり研究の、道具であると同時に結果そのものなのだ(Vygotsky, 1978, p.65)


これを受けてホルツマンは、「私たちはヴィゴツキーの道具と結果の弁証法に強く触発された」と語り、次のように述べる。

私たちは自分たちのやり方で、ヴィゴツキーの方法論についての記述を解釈した。人間は道具を作り利用するだけではなく、新しい【種類】の道具 ――― 【道具と結果の道具】をも作り出すと考えた。そればかりでなく、人間の発達も道具と結果の方法論に従う。ヴィゴツキーは大人との言語ゲームとごっこ遊びによって、乳幼児が言葉の話し手となることを示した。この2つの活動においては、道具(プロセス)と結果(プロダクト)が同時に出現する。(p.ii)


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