Creative Reading:『遊ぶヴィゴツキー』(ロイス・ホルツマン)

2014.12.27 Saturday 22:23
井庭 崇



こういう場合の「tool」は、日本語でいう「方法」と「道具」の両方の意味をもつから、「道具も結果も同時に生み出す」は、「方法も結果も同時に生み出す」と捉えてもよい。

僕の研究に引きつけて言うならば、パターン・ランゲージとは「方法」でもあり「結果」でもある、という話になる。パターン・ランゲージをつくるということ自体が、自分たちのなかを深く掘っていき学ぶ(組織学習も含む)ということであり、その結果、使用が可能になる言語が生まれる。どちらが大切なのかと聞かれれば、両方大切なのだ。それらは不可分であり、どちらか一方のために他があるわけではない。

メタにみても、井庭研で日頃やっていることは、個々のテーマのパターン・ランゲージをつくりながら、その「つくり方」もつくっている。すでに確定し固定されて「適用」するような作成方法があるわけではなく、そのたびごとに適した方法を生み出しながら、パターン・ランゲージの作成にとりくんでいる。その意味で、方法と結果の二重の「つくる」を同時にまわしているということになる。

つくられたパターン・ランゲージを使う、というときも同様のことが言える。パターン・ランゲージの使い方には、こうしなければならないという固定的な方法があるわけではない。パターン・ランゲージを使うときには、その使い方自体も考え、生み出しながら、使うことになる。つまり、「方法」(使い方)と「結果」(使って得られるもの)の両方を同時につくっていることになる。

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