Creative Reading:『遊ぶヴィゴツキー』(ロイス・ホルツマン)

2014.12.27 Saturday 22:23
井庭 崇


幼い子どもが母語話者になる様子をヴィゴツキーが記述しているが、ニューマンと私は、これを世界に関する知識獲得のための媒介手段をマスターするプロセス(すなわち手段としての道具の使用)とは見ない。発達のための環境と発達そのものを同時に(つまり道具も結果もともに)創造していると理解する。私たちは在ることと成ることの弁証法がどのようなものであるかを垣間みているのである。幼児が、自分たちが誰であるかと同時に、誰でないか(どのような人になろうとしているか)に、同時に関わるしかたを見ているのであり、これこそが発達のプロセスなのである。(p.26)


ここから、ヴィゴツキーの有名な「発達の最近接領域」(ZPD)の話につながっていく。

ヴィゴツキーの発達の最近接領域(米国では`zpd’と省略され、`zoped’と呼ぶところもある)は、現在のヴィゴツキー研究者のあいだでは、世界への働きかけを可能にする環境であるとされる。問題は、それがどのようにして【集合的に構成されるか】である。ヴィゴツキーは、学習が発達の後を応のではなく先導するような、学習と発達の弁証法的統合を強調するために、この概念を作った(Vygotsky, 1978, 1987)。(p.39)

… ヴィゴツキーは、学習と発達の社会性が集合的であることを強調している。… zpdにとって鍵となるのは、人びとと一緒に何かをすることなのである。(p.42)


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