Creative Reading:『遊ぶヴィゴツキー』(ロイス・ホルツマン)

2014.12.27 Saturday 22:23
井庭 崇



パターン・ランゲージをつくるということは、ヴィゴツキーのいう「遊び」の一種として捉えることができるだろう。ヴィゴツキーは子どもの発達を考えたので言葉遊びやごっこ遊びになるが、パターン・ランゲージをつくることは、大人にとっては、子どもの言葉遊びやごっこ遊びと同じような、一種の「遊び」と捉えることができる。ここでいう「遊び」は、仕事とは異なり、ある種の冗長性をもつ活動のことである。それには多少の難しさもともなうが、それらは克服され、楽しさも生み出す。あえて強調しておくが、ヴィゴツキーは「遊び」が発達・成長に本質的に重要だと言っているのであり、パターン・ランゲージをつくることが「遊び」であるということは、その意味においてである。

例えば、企業のなかで「顧客とのよい関係づくり」のパターン・ランゲージをつくったとすると、パターン・ランゲージをつくることそのものは、顧客との関係づくりそのものではないので、いわゆる「仕事」ではない。それとは違う活動である。パターン・ランゲージをつくるということは、社内における一種の「遊び」的活動であるとも言える。しかしながら、その場でしかない思考が生まれ、交流が生まれ、学びがあり、発達・成長へとつながる。これは必要な「遊び」であり、そういうものを(「暗黙知の共有」ということで説得的に)組織に持ち込めるのが、パターン・ランゲージである、ということができる。

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