Creative Reading:『天才たちの日課』(メイソン・カリー)

2015.01.05 Monday 17:31
井庭 崇


一昨日、書店で出会った『天才たちの日課: クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』image[]は、いままさに僕が求めていた本だった。

最近「書く」ということにまつわるパターン・ランゲージをつくり始めていて、これには作家たちがどのような生活を送っていたのかということが含まれる。この本には、小説家、詩人、作曲家、思想家など、なんと 161人の創作生活のスタイルが紹介されている。1人あたり1ページ〜3ページくらいで、伝記やインタビューからの引用も多い。

ふだん自分の好きな作家のエッセイや伝記は読んでも、なかなか幅広く情報を収集するのは難しい。そのとき、本書のような文献は、その幅を広げてくれるので本当に助かる。しかも、1人あたりの記述が短く、創作生活のスタイルだけに注目して書かれているため、共通点がつかみやすい。

この本を読んで、まず感じたのは次のことである。

それは、午前中に書いている(つくっている)人がとても多いということだ。午前中の方が、身体が疲れておらず頭が冴えているということと、いろいろな邪魔が入りにくいからだという。たいてい朝起きてコーヒーを淹れて、書斎にこもってドアを締めて書く。多くの人が、午前中のその時間を死守していた(朝食や昼食をどの時間にとるのかは、家族・子どもの有無など他の要因によっても影響されているようだ)。?

例えば、19世紀イギリスの小説家アンソニー・トロロープは、「毎朝五時半に机に向かうこと、そして自分を厳しく律することが私の習慣だった」(p.50)と語っている。こうして、「一日に普通の小説本の十ページ以上書くことができ、それを十ヵ月間続けると、一年で三巻シリーズの小説が三作できあがる」というわけである。

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