Creative Reading:『天才たちの日課』(メイソン・カリー)

2015.01.05 Monday 17:31
井庭 崇



トーマス・マンも、朝に書く人であった。

九時に書斎に入ってドアを閉めると、来客があっても電話があっても、家族が呼んでもいっさい応じない。子どもたちは九時から正午まではぜったいに物音をたてないように厳しくしつけられた。その時間がマンのおもな執筆時間だった。その時間帯に頭脳がもっとも活発に働くため、そのあいだに仕事をすませてしまおうと、自分自身に大きなプレッシャーをかけていた。(p.63-64)


その結果、正午までにできなかったことは、翌日にまわし、また翌日の午前中に続きを書くのだという。

アーネスト・ヘミングウェイも同じように朝書く人であった。彼は言う。

取りかかっているのが長編であれ短編であれ、毎朝、夜が明けたらできるだけ早く書きはじめるようにしている。だれにも邪魔されないし、最初は涼しかったり寒かったりするが、仕事に取りかかって書いているうちにあたたかくなってくる。まずは前に書いた部分を読む。いつも次がどうなるかわかっているところで書くのをやめるから、そこから続きが書ける。そして、まだ元気が残っていて、次がどうなるかわかっているところまで書いてやめる。そのあと、がんばって生きのびて、翌日になったらまた書きはじめる。朝六時から始めて、そう、正午くらいまで、もっと早く終わるときもある。(p.84)


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