Creative Reading:『天才たちの日課』(メイソン・カリー)

2015.01.05 Monday 17:31
井庭 崇



このように午前中(昼すぎまで)に執筆をするという作家には、ウィリアム・フォークナー、村上春樹、ヘンリー・ジェイムズ、マヤ・アンジェロー、リチャード・ライト、フラナリー・オコナー、チャールズ・ディケンズ、スティーヴン・キング、バーナード・マラマッド、ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ、ウィラ・キャザーがいる。また、心理学者で精神医学者のカール・ユングも、午前中に2時間集中して執筆したという。

ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテは、朝に取り組む意義を次のように述べている。

いま私は『ファウスト』の第二部に取り組んでいるが、書けるのは早朝だけだ。その時間帯なら、睡眠によって気力が回復しているし、日々のつまらない問題にまだ煩わされていないからだ。(p.230)


午前中に執筆している人たちは、午後には散歩に出かけたり、人に会ったり、手紙を書いたり、午前中に手書きで書いた原稿をタイプライターで打ち込んだりする。散歩を日課としている人がとても多かった。結構長い散歩をする人が多く、そうでない場合も複数回散歩に出かける人もいる。そして、昼寝をしている人も思った以上に多かった。

文章を直したりする(校正)のは、この午後の仕事に入るようだ。そして、昼や午後からワインやウィスキーなどのお酒を飲む人も多い。そして、お酒を飲みながら夕食を楽しみ、読書をしたりして、早めにベッドに入り眠る。

ウィラ・キャザーは、次のように語る。

私にとっては、午前中が書くのにいちばんいい時間なんです。ほかの時間帯には家事をしたり、セントラルパークを散歩したり、コンサートに行ったり、友人のやっているなにかを見にいったりします。いつも体調が万全になるように、元気でいるように、心掛けていますよ。書くためには、歌うのと同じくらい健康でいないといけないから。(p.298)


[7] << [9] >>
-
-


<< Creative Reading:『知的生産の技術』(梅棹忠夫)
Creative Reading:『物書きのたしなみ』(吉行淳之介) >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.20R]