Creative Reading:『天才たちの日課』(メイソン・カリー)

2015.01.05 Monday 17:31
井庭 崇



作家たちの一日のスケジュールのなかで他に印象的だったのは、手紙を書く(返事を書く)時間帯だ。いま、僕らは日々(電子)メールを読み書きする時間が結構あるわけだが、昔の人も手紙を書くのに長い時間を費やしていた。ここで注目すべきなのは、そのような手紙を書くことを、午後にやっているということである。

僕は、ふだん朝一で仕事のはじめにメールをチェックしているが、もしかしたらこれは創作との両立という意味ではあまりよくない習慣なのかもしれない。午前中は一人の世界にこもり、書き下ろしの執筆に集中する時間とする方がよいかもしれないと感じた(もちろん、執筆以外の仕事との兼ね合いもあるので、時期によっては難しいだろうけれども)。


さて、話を作品の執筆に戻すと、午前中だけでなく、昼食の後に再び書くという人たちもいる。ジャン・ポール・サルトルは、「午前中に三時間、夕方に三時間、それが私の唯一の決まりだ」(p.148)と語っている。

詩人のW・H・オーデンは、午前七時から十一時半までのいちばん頭が冴えている時間に執筆した後、昼食後も再開し、夕方まで仕事をしたという。セーレン・キルケゴールも、午前中に執筆し、長い散歩の後、また執筆を再開し夜まで書いた。シモーヌ・ド・ボーヴォワールも、「まずお茶を飲んで、十時ごろに仕事を始めて、一時まで続ける。そのあと友人と会って、五時にまた仕事に戻って、九時まで。」執筆した。

[7] << [9] >>
-
-


<< Creative Reading:『知的生産の技術』(梅棹忠夫)
Creative Reading:『物書きのたしなみ』(吉行淳之介) >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.20R]