Creative Reading:『天才たちの日課』(メイソン・カリー)

2015.01.05 Monday 17:31
井庭 崇



伝記作家エドマンド・ウィルソンは、9時から書き始め、途中仕事机で昼食を食べ、そのまま午後3時か4時まで書いたというし、ジョイス・キャロル・オーツは、朝八時くらいから午後一時まで執筆し、昼食と休憩のあとまた4時から7時ごろまで執筆をしたという。

どの場合も、集中して執筆できるのは2・3時間程度だということで、その時間を数セット(1〜3セット)、それぞれの生活のなかで確保している、ということのようだ。チャック・クロースは次のように語っている。

一度に三時間以上働いたら、ほんとに調子が狂ってくるんだ。だから、理想は三時間働いて、昼食をとって、また三時間働き、そのあと休憩。夜にまた仕事を再開できることもあるけど、基本的にはそれは意味がない。ある時点を超えるとミスが増えて、翌日はそれを修正するのに時間がかかってしまう。(p.102)


若いころ一日中執筆していたヘンリー・ミラーは、歳をとるにつれて午後の執筆はしない方がよいと考えるようになったという。午前中にしっかり2・3時間集中する方がよいことがわかったのだという。同様にジョン・チーヴァーも若い頃は、午前と午後の両方に執筆をしていたが、後には午前中だけに書くようになったという。

アンソニー・トロロープは次のように語る。

文筆家として生きてきた者 ――― 日々、文学的労働に従事している者 ――― ならだれでも、人間が執筆をするのに適した時間は一日せいぜい三時間であるという私の意見に賛同するだろう。しかし、文筆家はその三時間のあいだ、途切れることなく仕事ができるよう、訓練すべきである。つまり、ペンをかじったり、目の前の壁をみつめたりすることなく、自分の考えを表現する言葉が見つかるように、おのれの頭を鍛えなければならない。(p.51)


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