Creative Reading:『天才たちの日課』(メイソン・カリー)

2015.01.05 Monday 17:31
井庭 崇



ジョン・アップダイクも次のように語る。

書かないことはあまりにも楽なので、それに慣れてしまうと、もう二度と書けなくなってしまうから。だから決まった習慣を守るようにしている (p.292)


だからこそ、「一日に少なくとも三時間は、いま取り組んでいる新作のために時間を割くようにしている」という。そして、「しっかりと習慣を守ること、それが最後までやり遂げるコツだ」という。

「書く」ということと、書き続けるための「習慣」というものは、相互に高め合う関係にある。書き続けることが唯一書くことを可能にする。この円環的な営みのなかに入り、それを続ける努力をしなければ、作品をつくり続けることはできない。

ここで、ドイツの詩人で哲学者のフリードリヒ・シラーの言葉を肝に銘じたい。

我々は貴重な財産 ――― 時間 ――― を軽んじてきた。時間の使い方を工夫することによって、我々は自分をすばらしい存在に変えることができる (p.232)

そのとき、どのような時間の使い方をするか、そして、どのような習慣をつくるのかは、自分次第だ。

絶対的な方法などない。・・・きちんと規律が守られてさえいれば、どんなやり方で書こうがかまわない。もし規律が守れないような人間なら、どんな呪術的行為も効き目がないだろう。秘訣は時間を ――― 盗むのではなく ――― 作ること。あとは書くだけだ。 (p.351)

これは、バーナード・マラマッドの言葉である。

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