Creative Reading:『小説の自由』(保坂 和志)

2015.01.17 Saturday 00:03
井庭 崇


このことは、実によくわかる。例えば、ルーマンにはルーマンらしい”思考を組み立てていく手順のパターン”があり、アレグザンダーならアレグアンダーらしい”思考を組み立てていく手順のパターン”がある。そしてそれが文章に表れている。彼らに影響を受けて、彼らのような「文体」で論考を書こうと思っても、言葉づかいなどを真似るだけでは、似たようなものにはならないだろう。そうではなく、文章の表現に裏で関係している”思考を組み立てていく手順のパターン”を真似なければならないのである。

このように、表面的な表現ではなく、その表現を生む(生成する)背後にある「パターン」を抽出し、そこを真似できるようにする。これがパターン・ランゲージで目指していることである。単に、結果としての表現を真似するためのものではない。人間行為のパターン・ランゲージ(パターン・ランゲージ3.0)では、ここでいう「表現」というのは「行為」(action)と置き換えられる。つまり、パターン・ランゲージ3.0は、結果としての行為を真似するためのものではなく、その行為を生む(生成する)背後にある「パターン」を抽出し、そこのレベルから参考にできるようにすることが目指されているのだ。

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