Creative Reading:『小説の自由』(保坂 和志)

2015.01.17 Saturday 00:03
井庭 崇


また、このことを、保坂さんは本書の別のところで、次のように端的にまとめている。

小説の中で登場人物たちに「勝手なこと」をやらせたり言わせたりすることを私は“悪”を為さしめることだと思っていない。それはサッカー選手がフィールドで【自由に】動き回るというときの「自由」と同じ意味だと思っている。「自由」とは最大に力を発揮することだ。それは無秩序な動きでは実現しない。(p.248)

登場人物は、それぞれ、自分のパターンに従って、自由に行為する。

作者は、何かの行為を登場人物に「させる」のではなく、登場人物自体が自ずからそう行為する。

自由であるから、そう行為することが可能なのだ。

これが「小説(を書くとき)の自由」なのである。


『小説の自由』(保坂 和志, 中公文庫, 中央公論新社, 2010)image[]

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