Creative Reading:『レイモンド・カーヴァー:作家としての人生』

2015.01.19 Monday 11:00
井庭 崇


今、この本に出会えてよかった。『レイモンド・カーヴァー:作家としての人生』という本のことである。

image[Carver.jpg]『レイモンド・カーヴァー:作家としての人生』(キャロル・スクレナカ, 中央公論新社, 2013)
Carol Sklenicka, "RAYMOND CARVER: A Writer's Life," Reprint edition, Scribner, 2010image[]


本書は小説家レイモンド・カーヴァーの評伝である。巻末には、レイモンド・カーヴァーの本を翻訳してきた村上春樹が解説を寄せている。村上春樹はカーヴァーのことを「疑いなく、僕にとってもっとも価値ある教師であり、最高の文学的同志である」(p.627)と述べている。「その翻訳作業は小説家としての僕にとっても、得がたい勉強になった」(p.729)という。村上春樹は三十五歳のとき(『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を書く直前)に、カーヴァーのもとを訪れている。そのエピソードも本編のなかで紹介されている。

村上春樹の解説部分もすごくよいのだが、それについては後で触れるとして、まずは本編のなかで気になった部分を取り上げていきたい。


まず、個人的に興味深かったのは、創作のための「ライターズ・ワークショップ」についての記述があったことだ。パターン・ランゲージの国際学会では、書いてきたパターン(の論文)をみんなでコメントし合う「ライターズ・ワークショップ」が行われている。このライターズ・ワークショプという仕組みは、約20年前に、ソフトウェア・パターンのカンファレンスを実施するにあたり、ソフトウェア・エンジニアであり詩人でもある Richard Gabrielが創作分野から取り入れ、導入したものだ。以来、ソフトウェア・パターンの国際学会PLoPでは、毎年行われてきた。「行われている」というよりも、それがメインのアクティビティとなっている。

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