Vision Cube: 未来の社会をかたちづくる「新しい学問」をつくる
2017.06.20 Tuesday 23:29
井庭 崇
(2)(3)は片側に寄ったかたちになるが、(1)の軸である「Academic-oriented」「Issue-oriented」は、どちらにもかかったかたちで領域が取られている。つまり、「Academic-oriented」でも「Issue-oriented」でもある得るということである。
パターン・ランゲージを例にとると、「建築」「ソフトウェアデザイン」「学び」「プレゼンテーション」「企画」「料理」「認知症とともによりよく生きる」など、現実世界の個々の問題・課題ごとに、それを解決できるように研究・制作・実践していく。これはパターン・ランゲージの「Issue-oriented」な研究である。
これに対して、パターン・ランゲージの「Academic-oriented」な研究もある。それは、方法論に関する研究であったり、哲学的な位置づけに関するものなどがここに当たる。つまり、パターン・ランゲージの学問体系を発展させる研究がここにあたる。
パターン・ランゲージは、単なる知識共有のひとつの方法というふうに捉える人が多いかもしれないが、僕は、このような「超領域的で事実/価値を不可分とする新しい学問」のプラグマティックな実践であると考えている。そして、それこそが、社会や学問における縦割りの閉塞感を打ち破り、未来をのびやかにかたちづくる道だと、僕は信じている。
SFCでこれからも、未来の社会をかたちづくる「新しい学問」をつくっていきたい。
井庭 崇 編著, 中埜 博, 江渡 浩一郎, 中西 泰人, 竹中 平蔵, 羽生田 栄一, 『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』, 慶應義塾大学出版会, 2013
マイケル・ギボンズ, 『現代社会と知の創造:モード論とは何か』, 丸善, 1997
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