【論文公開】多様なあり方・取り組み方を言語化するスタイル・ランゲージ

2018.02.19 Monday 16:14
井庭 崇


2018年3月1・2日に早稲田大学で開催される国際学会AsianPLoP2018 (7th Asian Conference on Pattern Languages of Programs)で発表する(ライターズ・ワークショップにかける)論文の3つ目は、「多様なあり方・取り組み方を言語化するスタイル・ランゲージ」です。

昨年井庭研で生み出した新しい創造実践支援の言語形式「スタイル・ランゲージ」(Style Language)の考え方についての論文です。「スタイル・ランゲージ」は、ある特定のテーマ・分野における多様なあり方・取り組み方のスタイルを言語化し、自分らしいスタイルを育てていくことを支援するものです。花王さんとの共同研究で制作した「家族を育むスタイル・ランゲージ」と、クックパッドさんとの共同研究で制作した「料理教室のスタイル・ランゲージ」の事例も載っています。僕はいま、スタイル・ランゲージのいろいろな分野での適用可能性を感じてワクワクしているので、ぜひその一端をご覧いただければと思います。


「多様なあり方・取り組み方を言語化するスタイル・ランゲージ」
(井庭 崇, 野崎 琴未, 下田 裕介, 宗像 このみ)

Abstract:
本論文では、ある特定のテーマ・分野における多様なあり方・取り組み方のスタイルを言語化し、自分らしいスタイルを育てていく方法として「スタイル・ランゲージ」(Style Language)を提案する。「スタイル・ランゲージ」では、対象に置ける物事のあり方・取り組み方における個々のスタイル(様式)の要素を、それがどのようなものであるかを記述し、それに名前(スタイル・ワード)をつける。そのようなスタイルを数多く言語化することで、そのスタイルについて語りやすくなったり、その発想がなかった人がその発想を持てるようになったりすることを支援する。このように、スタイル・ランゲージは、パターン・ランゲージと同様に、創造実践を支援するための語彙・構成要素として用いることができるが、大きな違いもある。まず、パターン・ランゲージが質を高めるよりよい方法の方向性を示し、創造実践の質を高める支援をするのに対して、スタイル・ランゲージは、創造実践の具体的実現方法についての多様な可能性があると認識することを支援する。その意味で、スタイル・ランゲージは、それだけでも用いることができるが、パターン・ランゲージと併用することで、創造実践の強力な支援ツールとなるものである。本論文では、スタイル・ランゲージの具体的な事例として、「家族を育むスタイル・ランゲージ」と、「料理教室のスタイル・ランゲージ」を紹介する。そして、スタイル・ランゲージの活かし方として、それぞれのスタイルに関する実践・経験について語り合うことで「ピアに学び合う」という活用方法と、提供されているスタイルと自分の好みのスタイルのマッチングに用いるという活用方法を取り上げる。

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