「『創発社会』の到来とビジネス・パラダイムの転換」(井関利明)

2008.04.15 Tuesday 23:44
井庭 崇



「ここではだね、同じ場所にとどまるだけで、もう必死で走らなきゃいけないんだよ。そしてどっかよそに行くつもりなら、せめてその倍の速さで走らないとね!」
ルイス・キャロル(山形浩生訳)『鏡の国のアリス』(2000)

数年前、SFCのオープン・リサーチ・フォーラムのテーマがまさにこれだった(ORF2005『レッドクイーンの法則?知の遺伝子変化を加速せよ?』)。SFCは走り続けるという宣言をしたわけだ。

新しいメディアは、人びとの「意識」と「社会」を変える
井関さんは、「プリント・メディアの知」と「デジタル・メディアの知」の違いについて次のように区別する。

「何よりも、プリント・メディアの世界は、『閉ざされた知の世界』である。印刷物は簡単に書き換えることはできない。・・・・また、書物の書き手は、限られた専門家であるのが普通であり、著者と読者の立場ははっきりと別れていた。その意味でも『閉ざされた知の世界』だ、といえるだろう。それに対して、『デジタル・メディアの知』は、誰もが参加し、いつでも修正、発展させることができる。つまり、確定した知の結果ではなく、プロセスの知だからである。いつ誰によって修正され、組み合わされ、発展させられ、新しい知識を生みだすか分からない。自由な参加と相互作用が前提なのである。しかも、プリント・メディアの世界では受け手であった読者が、デジタル・メディアの世界では『書き込む人たち』に変わり、共同して新しい意味を創造する、『開かれた知の世界』なのである。」(p.42)

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