マインドフルネス、ガーター(偈頌:げじゅ)、パターン・ランゲージ

2018.02.28 Wednesday 13:43
井庭 崇


つまり、ガーターとは、日常のいろいろな実践において、その実践について意識を集中させて、マインドフル(気づきが深まった状態)になるための入口となるものである。

本書に収録されているものをいくつか紹介すると、ガーターとは、例えば、こういうものだ。まず、「目覚めのとき」(Waking Up)というタイトルがつけられたガーター。

目覚めのとき

目覚めて微笑む
生まれたての二十四時間
一瞬一瞬気づきを忘れず
すべてを慈しみの眼で見られますように」(p.14)


次に、「蛇口をひねる」(Turning on the Water)というガーターは、こういうもの。

蛇口をひねる

高い山から涌きいで
大地の底を流れる
奇跡の水に
心は感謝で満たされる」(p.30)


そして、「食事を用意する」(Serving Food)。

食事を用意する

この食べ物に目をやれば
宇宙のすべてがそこにある
だからこそ
私は今ここにいる」(p.140)


こういう何気ないことが、いかに奇跡的な有難いことなのかを感じさせてくれて、その実践を大切に行うことができるようになる。ほかにも、「水やりをする」とか「お皿を洗う」というようなものや、「コンピュータを立ち上げる」というものまである。

ティク・ナット・ハン師は、日常のなかでの実践のなかにマインドフルネスを活かしていくエンゲージド・ブディズム(現実に関わる仏教)やアプライド・ブディズム(応用仏教)を展開した人であり、訳者解説には、エンゲージド・ブディズムについて、彼の次のような言葉が紹介されている。

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