東洋からの貢献、空、ナチュラル・ウィズダム:『ブッダの夢』を読んで

2018.03.31 Saturday 10:30
井庭 崇


河合 隼雄さんと中沢 新一さんの対談本『ブッダの夢』、最高に面白かった。

僕が目指しているパターン・ランゲージとは何かということを考えるためにも、とても勉強になり、かなり共感する魅力的な言葉たちに出会うことができた。

まずは、本書の冒頭の問題意識にところで語られている、中沢さんの以下の発言。

「仏教はふつうにいうところの宗教ではない。それは言ってみれば『知恵』なのである。」(中沢, p.9)

「東アジアの端っこの列島に生きてきた日本人が、なにか独創的な仕事で人類に貢献することができるとしたら、それはこのけっして体系をなさない、そして日常や実用からはなれることのない『知恵』の倉庫から出発して、つつましいけれども深い願いをこめたさまざまな『道』をつくりだすことしかないだろう、とぼくは思ってきた。仏教はそういう日本人がなにかの独自性をもった創造を行おうとするときに、いつも羅針盤のような役目を果たしてきてくれたのだった。僕たちの時代の新しい『知恵』のかたちを生み出していかなければならない。」(中沢, p.10)

僕はパターン・ランゲージの研究をしながら、その提唱者であるクリストファー・アレグザンダーが東洋的な考え方に影響されてつくった思想や理論、方法というものを、日本人である僕(たち)はどのように発展させ、返すことができるだろうか、ということを常々考えてきた(海外研究者から15 Propertiesについて日本人の視点から見るとどうなのかと問われてうまく答えられなかった経験もある)。知恵としての仏教という視点によって、というのは、まさに、共感するところである。最近の僕の関心にドンピシャで、それを言語化してくれているというような文章だった。

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