ピュシスとロゴスのあいだ:「生」への道の言葉をつくるパターン・ランゲージ

2018.03.31 Saturday 10:50
井庭 崇



「こうした考え方の方向をはっきりさせたのが、パルメニデスとピタゴラスです。特にピタゴラスは、数学、とりわけ幾何学を発展させた最初の人物ということになるわけです。」(池田, p.41)

「ソクラテス。プラトン以降現在に至るまで、人間の思考はすべて数学主義、西洋哲学でいうところの合理主義の支配下にあったと言えます。プラトンのアカデメイアの入り口に「幾何学を知らざる者、この門をくぐるべからず」と書かれていたのは有名な話です。・・・そこでは、徹底的にロゴスの立場またはイデアの立場に立つことが推奨されたのです。」(池田, p.43)

「「イデアの立場に立つ」ということは、しかし、同時に、ハイデガーの言う「現存在」(Dasein)としてのリアリティが失われていくことであったのです。「【現】存在」とは大まかに言えば、まさにいま生まれつつある存在、ありのままに起きている(「生起」的な)存在のことです。」(池田, p.43)

こうして、ハイデガーは、理念的世界で描かれる存在をザイン(Sein/Seyn:存在)と呼び、ピュシスの世界における存在をザイエンデ(Seiende:存在者)と呼んだのです。

「ピュシスとロゴスのあいだの葛藤が古代ギリシアに存在し、結果として、ヘラクレイトスが唱えたピュシスが忘れられて、ロゴス偏重の世界となったということ。その経緯について世界で初めて明らかにしたのはハイデガーだったと言えるかもしれませんけれども、しかし、ハイデガーはそのことについて西田のように徹底的に考えることはなかったのではないでしょうか。」(池田, p.45)


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