2022年春学期 井庭研シラバス:「自然な深い創造」の探究・実践・支援

2022.01.26 Wednesday 10:23
井庭 崇


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■パターン・ランゲージは歌の詞に似ている

パターン・ランゲージは、単に現象を説明する理論なのではなく、読み手が「自分の状況に当てはまる」と思い、そこで推奨されていることを魅力的だと思い、実際にやってみようと思ってもらえるようなものになっている必要があります。物事の本質を捉えるとともに、心が動き、身体が動くような表現になっていることが求められるのです。僕は、これは、J-POPのようなポピュラー音楽の歌詞をつくることに似ていると思っています。

聴き手が「自分の状況に当てはまる」と思い、そこで歌われていることを魅力的だと思い、自分の歌として口ずさんだり、カラオケで歌う、そういう歌の歌詞のようなものだと思うのです。実際、作詞を手掛けている人たちが、歌づくりで語っていることは、パターン・ランゲージの作成と共通すると感じることが多々あります。AメロやBメロでその状況における悩みや迷いが歌われ、それをどう捉えるかや乗り越えていくようなポジティブなメッセージがサビで提示されます。聴き手は、その歌を聴き、歌詞を受け取るなかで、元気をもらったり、勇気づけられたり、世界をポジティブに捉えることができるようになります。

パターン・ランゲージも、ある状況における問題から始まり、それを乗り越えていく方法が示されます。それは読み手の内側から「自分のことだ」「自分の近未来だ」と思うように書いていきます。読み手が実感をともなって、ありありとその内容をイメージできるようにつくるのです。歌とは異なり、音楽が持つ力を借りることはできません。しかしながら、うまくつくれば、読み手のペースで、自分のものとして内側からその人を温めるようなものになります。

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[Serene Bach 2.20R]